力 学 整 体 の あ ら ま し


This is Rikigaku-Seitai!




ま  え  が  き


 力学整体の、このWebページを読もうとする人は、きっと治療のことについて知りたいにちがいありません。
 「わかりきったことを言うな」と言う人もいらっしゃるでしょう。
 でも、これから話すことを、ひとつ聞いてください。
 力学整体が、いまここで言いたいのは、いったい「治療」とは何なのかという問題です。
 「何だ、そんなことはいよいよわかりきったことではないか。病気を治すことだ」
とたいていの人は言われることでしょう。
 なるほど、いいでしょう。
 しかし、次の題目をみてください。
 力学整体が言いたいのは、

    力学整体は、病気を治す方法ではありません
    治療のことは忘れください

ということなのです。 

 驚きましたか?
 これは逆説的な話かもしれませんが、治療を忘れてくださいというのは、まったくの出鱈目ではないのです。

 「力学整体」は、いささかユニークな矯正法であり、また健康法でもあります。
 薬も使わず、手術もせず、そのうえ機械や器具にも頼りません(簡単な道具は使用しますが)。
 食事には気をつけなければいけませんが、あまりとらわれてはいません。
 では、力学整体では、いったい何で病気を治そうというのでしょうか?
 「生命」で、病を癒そうというのです。
 「生命の働き」で、病気を癒し、健康をつくろうというのです。
 力学整体がたよりにしているのは、「生命」そのものであり、「生命の働き」そのものなのです。
 つまり、力学整体は、「生命」の矯正法・健康法なのです。

 力学整体での主役は、「ひとりひとりの生命」です。
 つまり、それは、病者本人である「あなたの生命」そのもののことです。
 今まで、気がついていようと、気がついていなかろうと、そんなこととは関係なく、あなたの中で働いてくれている「生命の働き」に、しっかりと眼を見開いて、あなたの「生命」と「生命の働き」をもっと信頼しましょう!

 力学整体では、自分が自分の病気を自分で治します。
 自分が治すというよりも、自分自身の「生命の働き」が治してくれる、といったほうが事実に近いかもしれません。
 ですから、力学整体というのは、「生命の働き」の力を発揮させる方法だ、ということになります。
 この「生命の働き」が活発であれば、人間は本来健康でいられるのです。
 その「生命の働き」が、何らかの原因で充分に働いていないと、人間は健康ではいられなくなります。
 そこで、「生命の働き」を妨害している大本となる原因を究明し、その妨害している大本の原因を除去し、本来の「生命の働き」を発動させる方法こそが、力学整体なのです。

 力学整体では、この大本となる原因に、「体縮」があると考えています。
 この「体縮」は、「体形のゆがみ」と「体の動きの悪さ」と「いろいろな症状」として骨と関節と筋肉にあらわれますが、その裏では、重力の作用が深く関わっていて、そこに脳と神経の働きが深く関わっています。
 それら「体縮」の複雑な関連を解き明かし、具体的に「体癖」を直すことで、「体内のゆがみ」を解消して、「体形のバランス」を回復させる方法が、力学整体なのです。
 したがって、力学整体は、病気のいろいろな症状を引き起こしている大きな原因の1つに、本体として「体縮」があることを見つけ、「体縮」を直すためには、その本態である「体癖」をどうしても矯正していかなければならないという事実を臨床経験上突き止め、「体内のゆがみ」を修整することで、その結果として「体形のゆがみ」を解消して、「体形のバランス」を回復することで、その人が本来持っている「生命の力」を働かせる方法であって、決して何々の病気を治すという方法ではないのです。

 ですから、力学整体は、あくまで病気を治すのではなく、自分自身で主体的に「体縮」を直す姿勢で一貫しています。
 そして、この「体縮」を直すには、自分自身で体を動かして、動作とか体操や運動を実行して「体癖」を直すしかないのです。
 たとえば、呼吸したり、食事をしたり、睡眠をとったり、頭で考えたり、などの一連の行為は、他人に代わってやってもらうわけにはいきません。
 体操や運動にしても同じことです。
 他人に代わってやってもらっても、その効果は本人には帰属しませんから、全然意味がありません。
 しかし、自分でやるわけですから、お金がかかりませんし、それに、いつでも、どこででもできます。
 ただし、自分で自分の「体縮」を直すと言っても、小さな乳幼児やある程度「体癖」が重症・難症の方々などは、自分の自力だけでは無理なケースも多いのが事実です。
 そこで、力学整体では、研究所と本人が、お互いに力を合わせて、治療室で専門的な施術の操法を受け、ひとりでは孤独でなかなかできないとか続けられないということがあるので、ご本人も研究所といっしょになってやるという方法をおすすめします。

 力学整体は、一時しのぎのために施される「対症療法」ではありません。
 力学整体がやっているのは、川の流れをせき止めていた大きな石を除けることによって、川がふたたび流れ出すようにしていることと同じことなのです。
 体の内から「体縮」と「体癖」を直し、身体を整え、あとは「恒常性機能の維持」や「自然治癒力」が働き出すのを待つだけなのです。
 そうして、バランスのとれた体をつくりあげるのです。
 しかし、このような方法によって、本人の内部にある自己の力が働いて、根本的に体質の改善し、健康をつくっていくやり方こそが「根本療法」言えるのではないでしょうか?
 ですから、根本療法は、一時しのぎの対症療法とは違って病気を治すものではなく、もともとの大本から体自体を直すものです。

 しかし、どのような病気に対しても、いつでも根本療法で対応できるかというと、そうはいきません。
 というのも、根本療法では効果が遅いということもあって、間に合わないということもあるからです。
 したがって、根本療法だけでなく、即効性のある対症療法を併用したほうがいい場合もあります。
 しかしながら、やはり本当に健康をつくるためには、根本療法によらなければなりません。

 力学整体で元気を出し、体の内から根本的に体質を改善し、健康をつくりあげましょう!

 力学整体では、決して「現代医学」を軽視してはいません。
 「現代医学」が、病気に悩み苦しんでいる多くの人たちを救ってきたのは紛れもない事実です。
 現代医学の恩恵に浴していない人など、誰もいないと言っていいでしょう。
 それほど、現代医学の功績は素晴らしく、またその貢献も大きいことは万人が認めるところです。

 しかし、現代医学だけが、すべてではないことも事実です。
 確かに、現代医学の治療が、即効的に素晴らしい威力を発揮している例は数多くあります。
 しかしながら、現代医学では、無視されたり、軽視されたり、見放されてしまっている例もまだまだあるのです。
 現代医学は、人体を生物学的・化学的な観点で、微小化・細分化して部分的に捉える方向(現代分子生物学)では驚異的な進歩を遂げてきています。
 ところが、驚くべきことに、いまだに人体を重力との関係で捉えるという物理学的な視点がまったくありません。
 また、重力が人体に及ぼす影響を、人体の全体と部分との関連で総合的・巨視的に捉えることもなされていません。
 力学整体では、比較的新しい生体力学や生体工学という学問の分野が、医療の世界にも応用できなかと考えています。

 以上で、治療のことは忘れてくださいと申しあげた真意も理解していただけたことと思います。
 そして、力学整体は、病気を治すことを目的にしたものではないということも・・・。
 力学整体は、「体癖」を直して、「体内のゆがみ」である「体縮」を伸緩させて、その結果「体形のゆがみ」が解消されるというやり方であって、主として「体形のバランス」を回復・維持することを目的とした「体育(からだをそだてる)」なのです。

 


力 学 整 体 の 特 徴


 次に、力学整体が、どのような特徴を持っているのかを申しあげていきますので、そこから力学整体のおおまかな全体像をつかんでいただけたらと思います。

  力学整体は、本来、生まれながらに生体にそなわっている、「生命の働き」を、根本的なよりどころとしています。

 この働きは、自己の生命活動をバランスよく制御しており、また体内環境のバランスを自律的・自動的に調節しています。
 ですから、この働きのことを、一般的には「自然(自己)治癒力」とか「自然良能」とか「ホメオスタシス(恒常性機能の維持)」と言うこともあります。
 この働きが、何らかの原因で悪くなると、健康を害し、病気にもなるということになります。
 力学整体は、この働きが正常に、バランスよく機能するように誘導するにはどうしたらいいのか、ということを考え抜いた方法なのです。
 もともと体がそなえている「元気力」を、呼び覚ます方法が力学整体なのです。
 そうすることによって、不健康な状態や病気から体を癒して、健康を回復し、なるべく病気にならないように健康な体をつくりあげていく根本的な方法なのです。
 しかし、こうした生命力の働きには限界があるということも事実です。
 生命には、コインの裏と表のように、生と死の両面がそなわっているからです。
 生命現象というのは、生・老・病・死のそれぞれを、まるごとひとつのものとして抱え込んで、あらわれているものだからです。
 ですから、生命力の限界を超える場合や、「自然(自己)治癒力」が働かないような場合には、力学整体では、その事実を認めて、それも自然の摂理だと受け入れ、たとえその場合でも、「生命の輝き」を失わないよう自己の生を全うする道が、力学整体の立場です。
 しかし、たとえば、事故とか怪我などで体の一部が破壊されるとか、毒物による中毒とか、緊急の処置を必要とする急性の場合とか、自然(自己)治癒を期待できない病気などの場合には、現代医学に頼らなければなりません。
 その場合でも、力学整体は、健康の基礎づくり・土台づくりの役目を果たせます。

  力学整体では、病気は重力が発生させており、「自然治癒力」の鍵は重力にあると考えています。

 地球上に存在しているあらゆるものには、1Gという重力の作用が働いています。
 この地球上に生まれた生物が、この重力の影響を受けないはずはありません。
 わたしたち人間も、地球という重力の作用が働いている環境(重力場)の中で生活をしています。
 地上の「生命」は、この重力に対応して活動しています。
 ですから、重力に対応できなくなった時が、「生命」の終わりだと言えます。
 生命活動は、重力に対応して行われるものであり、これが自然界の姿なのです。
 生命が、重力に対応しているというのは、静的であれ動的であれ重力に抵抗できて、活動できている状態を指します。
 抵抗するというのは、重力の働きに応じて、重力の波に乗って、重力を利用し自由に静止したり運動したりすることできるということです。
 正常な生命活動では、静的にも動的にも安定した状態で重力に対応できています。
 だから、生命体がうまく重力に対応できていれば、重力が構造体へ全体的に無理なく伝達して流れていき、生体の機能も正常に活動してくれて、健康な状態でいられます。
 しかし、何らかの原因で、重力にうまく対応できなくなると、重力が構造体へ部分的に集中して流れ込んで滞り、無理や負担がかかってきて部分的疲労を起こし、構造体自体が破壊され、生命活動は衰退することになります。
 そうすると、生体は重力に対応しようと脳と神経が作用して、新たな構造体の異常を発生し、それによって、生体の機能も働きが悪くなって、これが、病気の「引き金」になるのです。
 ですから、力学整体では、重力にうまく対応できていない状態を、病的な状態だと見ています。
 つまり、生体が、うまく重力に応じられなくなると、「病気」になるのです。
 そして、生体が、まったく重力に応じられなくなると、それは生物学的な「死」を意味することになるわけです。
 そこで、力学整体では、こうした考え方をもとに、生体が重力に反応する場(力学対応生物学)を基準にして、重力にうまく対応できているかどうかで正常か異常かを判定し、「体縮」や「体癖」の診断から矯正・治療までを臨床の場で応用しているです。

  力学整体では、「筋バランス」をとることを対象にしています。

 一般の人はもちろんのこと、専門家の中にも、
 「身体が歪むのは、骨が歪んでいるからだ」
と考えている人が多いようです。
 それでは、人間の体の中には、いったい何本くらいの骨が存在するのでしょうか?
 人間の体には、約206個の骨があります。
 その骨と骨どうしは、関節でつながっています。
 そして、その関節の部分には、滑液という潤滑油が出ています。
 ですから、生きている人間の関節というのは、そのままだと、ツルツルと滑って動きっぱなしなのです。
 また、背骨は、椎骨という小さな骨が24個重なり合って1本の背骨となっています。
 そして、その骨と骨の間には、椎間板というコンニャクのような軟骨があります。
 ですから、この背骨も、そのままだと、プラプラと動いて安定しません。
 つまり、全身の関節が、そういう状態にあるわけです。
 骨は本来1つ1つがバラバラの状態ですから、そのままでは、骨はいつでも簡単に滑って動いてしまい、本来のバラバラになってしまうという、非常に不安定な状態にあります。
 そこで、この骨に前後左右からさまざまな筋肉が付着することで、骨と骨を筋肉で引っ張って、骨を支え関節を固定しているのです。
 そうして、きれいな骨の並びを維持して、骨格の構造を保持しているのです。
 筋肉は、たいてい関節をはさんでついています。
 この筋肉が縮んで、ギュッと締まって、関節が勝手に動かないようにしているのです。
 たとえば、立っている場合には、全身の筋肉をバランスよく働かせて、関節の動きを抑えているから、姿勢をたもっていられるのです。
 筋肉は、骨と違って、伸びたり縮んだりして、関節を動かして、いろいろな動きを可能にしてくれています。
 そのため、一般的には、筋肉というのは、骨を動かすだけの働きしかないと考えている人が多くいます。
 もちろん、筋肉が働いて、骨が動いているわけですが、筋肉の役割は、それだけではありません。
 関節の動きを抑えて、「姿勢を維持」し、「体形を保持」しているという働きも果たしているのです。
 背骨は、どうして曲がるのでしょうか?
 骨自体が、自分で勝手に動いているわけではありません。
 筋肉や靭帯などが、筋収縮を引き起こし、全身の筋肉系にアンバランスな緊張が生まれることによって、骨が片側により引っ張られて曲がっているのです。
 つまり、筋肉のアンバランスな緊張こそが原因なのです。
 したがって、「歪みをつくっているのは、骨ではなく筋肉である」と言えるわけです。
 この筋肉の不均衡な過緊張こそが、「体形のゆがみ」をつくっている最大の原因なのです。
 そこで、力学整体では、この不均衡な筋の過緊張をゆるめることによって、「体形のゆがみ」を正し、生理的な機能をよみがえらせ、病を癒す方向で経過させようとしているのです。
 多くの場合、このアンバランスな筋の過緊張を緩解することによって、「体形のバランス」を整えることができます。
 あんま・指圧・マッサージなどは、こうした方向での方法だと言えます。
 ですから、やり方は違いますが、力学整体も、筋の過緊張を弛緩させるという意味では、同じ方向を目指していると言えます。
 しかし、力学整体は、薬も使わず、手術もせず、ハリも灸も使わないし、あんま・指圧・マッサージもしませんし、普通の一般的な整体法(術)のように、全身の骨を動かして、関節をボキボキと鳴らせることもしません。

  力学整体では、股関節のバランスを重視します。

 まず、背骨の曲がりを例にして考えてみましょう。
 背骨は、筋のアンバランスな過緊張によって曲がっていると言いました。
 実は、背骨が曲がるのは、背骨の土台である骨盤が傾いて、骨盤がゆがんだために、それに対応して背骨は曲がってもいるのです。
 つまり、背骨は、下部ではその土台である骨盤の傾きに応じて傾き、上部では倒れないように下部の代償として反対側へ曲がって、全体的にバランスをとろうとしているのです。
 さらに、土台である骨盤が傾いたり、ゆがんだりするのは、その土台であり骨盤を支えている脚に原因があるのです。
 この脚は、股関節という股の関節部分で、骨盤とつながっています。
 ところが、この股関節では、大腿骨という脚の骨が、棒のように真っ直ぐ骨盤にはまり込んでいないのです。
 この大腿骨は、骨盤にはまり込む手前の部分で、約130度の角度でくびれています。
 そのため、この大腿骨がズレた状態で骨盤にはまり込むと、その土台を支える脚の影響を受けて、土台である骨盤までもが傾いたり、ゆがんだりしてしまうのです。
 つまり、本当の原因は、股関節部を中心とした下肢や骨盤部の筋収縮による、股関節の転位にあるのです。
 ですから、たとえ、背骨の曲がりや骨盤のゆがみを直接に矯正しても、根本原因である股関節の角度がズレた状態のままでは、脚で立った瞬間から、骨盤の傾きやゆがみが元に戻ってしまい、背骨の曲がりもぶりかえしてしまうことになります。

 力学整体では、この事実を重視して、股関節部での大腿骨の角度や骨盤のゆがみを整えることを中心にして、下肢や骨盤部での筋の過緊張をゆるめることに着目しているのです。

 したがって、力学整体の施術では、あんまや指圧やマッサージのよに、全身をもんだり、指圧したり、マッサージをしたりして、筋肉をほぐすという方法は取っていません。
 股関節部を中心とした下肢と骨盤部の、骨と筋肉にだけ操法をして、それを全身に連動させて、波及させるのです。
 全身をもみほぐすという方法では、一時的な対症療法としての効果しかないのに、力学整体で、びっくりするような効果が出て、不思議がられるのも、ここに理由があるわけです。
 筋肉を対象にしたいろいろな治療法が、一時的な対症療法としての効果しかなかってのは、このことに気がついていなかったからです。

 力学整体では、背骨の1つ1つを矯正治療の対象にするのではなく、その背骨の曲がりがどうであれ、あるいは、どのような病気であれ、ただ股関節を中心にして、バランスがとれるように操法をするのです。
 しかし、それでも不思議なほど、効果があがることがあるのです。
 現代医学で、なかなか効果があがらない場合でも、力学整体の方法で効果が出ることもあります。

  力学整体では、錐体外路系、自律神経、反射などの神経系統を重視します。

 錐体外路系

 この「錐体外路系(すいたいがいろけい)」という言葉を、はじめて聞くという人もいらっしゃることと思います。
 人間の体の運動は、骨格筋の働きによって、身体の動きや姿勢の保持などが行われています。
 そして、この運動には、意識して体を動かす運動と、意識をしないで動いている運動とがあって、この2つの運動がお互いに協調し合ってうまく身体運動が行われているのです。
 わたしたちは、身体の運動というと、意識して動かしている部分だけしかないように、つい思い込んでしまいがちです。
 しかし、実は、意識して体を動かしている部分よりも、むしろ無意識に体が動いている部分のほうが、身体運動の大部分を占めているのです。 

 つまり、意識的な筋運動を制御しているのが「錐体路系」であり、無意識的な筋運動を制御しているのが「錐体外路系」ということになるわけです。
 そして、身体運動は、この2つの制御機構が働いて、お互いにうまく連係し合って行われているのです。
 もともと筋運動は、「錐体外路系」だけしかありませんでした。
 それが、進化の過程で、あとから「錐体路系」ができたのです。
 ですから、筋運動というのは、無意識の運動から成り立っています。
 「錐体路系」は、その無意識運動を、ある目的を持った運動にとって不必要でじゃまになる他の筋運動を制御して、目的運動に合わせる働きをしています。
 「錐体外路系」は、各筋運動が連係して働けるように、それぞれの筋が働く順序や強さの度合いや釣り合いなどを制御して、総合的な調節をしています。

 「錐体外路系」というのは、筋運動の無意識の制御機構です。
 たとえば、手で物をつかむというような運動でも、どの筋肉をどの順番で使って、どれくらいの力を入れて持つか、なんてことを、いちいち考えたりしてやってるわけではありません。
 また、立ったりしている時でも、意識しないでもうまくバランスをとって姿勢を保つことができます。
 こうした動作や姿勢がスムースにできるのも、「錐体外路系」の働きによるわけです。

 姿勢が悪かったり、歩いたり、動いたり、座ったりなどする癖が、偏って身につき、それが「体癖」になってしまうと、無意識の筋制御に狂いが生じてきます。
 そうすると、「錐体外路系」は、目的に合った運動ができるように、うまく筋運動を制御できなくなってきます。
 こうして、「錐体外路系」がうまく機能しなくなると、異常な命令が筋肉系に伝えられ、アンバランスな筋の過緊張が起こるのです。

 しかし、「錐体外路系」には、脳に過去に経験した運動を記憶する中枢があります。
 「錐体外路系」は、その過去の運動の記憶を参考にして、無意識の運動を制御しているのです。
 力学整体では、この記憶を重視して、体癖修正動作や体癖修正運動などのエクササイズによって、新しい記憶を定着させるというトレーニングの原則が考えられています。
 自分で動作や運動をするのも、このためなのです。
 矯正では、自分自身で動作や運動を行なって、そのトレーニングを通じて、新しいバランスのとれた動きを自分の脳に覚えさせなければなりません。

 「錐体外路系」による制御がうまくできなくなると、筋のアンバランスな過緊張が起こるわけですから、矯正や健康を考えるうえで、この「錐体外路系」というものを、どうしても無視できないのです。
 力学整体では、「錐体外路系」が過去の運動経験を記憶することができるという点を利用して、これに働きかけて新たな記憶の定着をはかり、「錐体外路系」の機能を正常化しようとしているのです。

 自律神経

 筋肉のコリは、血液の循環が悪くなって、疲労物質が溜まっているのが原因で起こるとされています。
 そのため、コリを解消するためには、叩いたり、押したり、揉んだり、マッサージをしたりすることによって、血液や体液の流れをよくしようとする方法が有効だと考えられています。
 しかし、そのような方法では、その直後は一時的にいいのですが、しばらくすると、またコリがぶり返して来てしまい、元の木阿弥になってしまっています。
 これでは、コリを根本的に解消することはできません。
 つまり、コリは、決して、血液の循環が悪くて、疲労物質が溜まっているのが、大本の原因で起こっているのではないからです。

 コリは、筋肉が自律的に収縮した状態です。
 つまり、コリは、本人の意思とは関係なく、筋肉が勝手に縮んで元に戻らなくなってしまっている状態なのです。
 そのため、収縮した筋肉によって血管などが圧迫されて、血行が悪くなって、疲労物質が溜まるのです。
 さらに、コリは、体内から筋肉を収縮させることによって、体内へ体を引っ張り込んで、内部の臓器を圧迫したり、体形をゆがめることになります。
 体形がゆがめば、それに応じて、背骨も曲がることになります。
 その結果として、いろいろな症状があらわれることになります。

 このコリは、全身に生じているのですが、ほとんど人はそのことに気がついていません。
 全身がコリの状態になっているのに、頭では「痛み」や「めまい」として、首や肩では「こり感」として、背中では「突っ張り感」や「引きつれ感」や「痛み」として、腰では「重さ」や「だるさ」や「痛み」として、手足では「冷え」や「シビレ」や「痛み」などの部分的な症状としてあらわれます。
 そのため、比較的コリがひどい部分で、症状が出ている部分だけが悪いのだと思い込んでしまいます。
 力学整体では、症状が出ている部分ではなく、全身に生じているコリ状態が根元の原因であることを突き止め、全身のコリを根本的に解消するやり方をしています。

 力学整体では、コリは、自律神経が関係しているのではないかと考えています。
 これまでの考え方では、筋肉は、運動神経や知覚神経などの末梢神経にだけ支配されているとされています。
 したがって、筋肉に自律神経が関係しているという考え方はありませんでした。
 しかし、力学整体では、筋肉に対して自律神経の作用が及んでいると考えざるを得ない現象を確認しています。
 しかも、その自律神経は、重力に対応するかたちで「体形のバランス」を整えようとして、筋肉に対して働きかけているのです。
 重力の影響は、脳と神経を通じて、全身の筋肉に波及しているのです。

 力学整体は、この関連に着眼して、「体形のゆがみ」を根本から解消することによって、重力の作用を応用して、脳と神経に働きかけて、全身に生じているコリを根本的に解消する方法なのです。

  反 射

 日常的な行動は、大脳がいちいち指令を出して行なわれているのではありません。
 その多くは、反射が行なっているのです。
 ですから、日常生活を営むうえで、反射はなくてはなりません。
 つまり、生命を維持していくためには必要不可欠な機能なのです。
 反射の特徴としては、意識をしないで起こるという点と、ある一定以上の刺激を感じることによって、はじめてその刺激に対して反応するという点があげられます。
 反射は、進化の過程では、思考よりも前に完成されており、生体にとっては基本的な神経機構です。
 反射は、大脳とは関係なく、刺激や興奮の伝わる経路を短縮しているわけです。
 生体では、思考を担当する大脳の活動によって大量のエネルギーが消費されるため、生命活動のうち、その多くを反射に担当させて、エネルギーの省略をはかっているのです。

 重力との関係で、姿勢や運動の中には、やさしいものや、難しいものがあります。
 反射は、静止姿勢や運動姿勢の状態を感じて、その情報をもとに、体全体の姿勢が重力との関係でうまくバランスがとれるように、全身の筋肉の緊張度合いを配分して調節しています。
 静止姿勢や運動姿勢は、重力に自動的に抵抗できる筋肉の働きによって可能となっているのです。

 力学整体では、この生体にそなわっている反射を重視しています。
 体の反射を引き起こし、矯正によって筋肉の収縮と弛緩を筋バランスがとれる方向で引き出し、「体形のゆがみ」を解消しようとする方法をとっています。
 力学整体は、さまざまな反射の中でも、姿勢反射を重要な反射として位置づけ、静的な姿勢による矯正法や動的な姿勢による運動法を利用することによって、体内に刺激と興奮を発生させて反射を引き起こし、この反射を身体に作用させることによって、「体形のバランス」を調整しているのです。

  力学整体は、癖直しです。 

 その人の「姿勢癖」や「動き癖」が、「体形のゆがみ」をつくっているのです。
 ですから、体を治すためには、体の癖を直さなければなりません。
 骨格の位置を決めているのは、筋肉です。
 「体形のゆがみ」の原因を深く追求していくと、「体縮」の問題にぶつかり、結局は、体内での「筋肉のアンバランスな緊張」状態に行きつくのです。
 そのアンバランスな筋肉の縮み具合が、つまり体の「癖」になっているのです。
 ですから、この「体癖」を直せば、「体形のゆがみ」も解消できるのです。
 片寄って縮んでいる筋肉には、縮み癖がついています。
 力学整体は、その縮み癖のついている筋肉を、矯正によって縮み癖の偏りを直す方法だと言えます。
 縮んでいる筋肉が緩んできたら、全身の筋バランスが整ってきて、「体縮」による体内の圧迫もなくなります。
 「体縮」が元に戻れば、「体形のゆがみ」が解消されて「体形のバランス」がとれようになって、骨格の位置も正常になります。
 こうして、力学的に圧迫されていた体が、力学的な圧迫から開放されて、体の各機能が正常化すると「自然治癒力」が働き出すことになり、病が癒されることになります。

 問題は、「癖直し」です。
 いったん身体についた「癖」というのは、そう簡単には直らないのです。
 頭の中だけで理屈を理解して、癖を直そうとしても、なかなか癖は直りません。
 そこで、力学整体の施術を受けることと、本人がエクササイズを実行することがとても大切になるのです。



 以上が、力学整体の大まかな特徴です。
 上記の説明で、力学整体の姿が、いくらかでも理解していただけたのではないでしょうか?
 力学整体を、一言でいうとするならば、自主的な整体法だといえるでしょう。
 最後にニ言。
 みなさんも、わたしたちとご一緒にやってみませんか?
 わたしたちと一緒に、あなたも頑張りましょう!


力学整体研究所