| 中島 義道 著 『ひとを<嫌う>ということ』 (角川書店) |
| 中島氏の『働くことがイヤな人のための本―仕事とは何だろうか』という本が面白かったので、続けて、氏の著書である本書を読むことにしました。というのも、ちょうど嫌いということが気になっていたからです。 本書で取り上げているのは、日常生活でごく普通に見受けられる「嫌い」という感情です。おそらく、こうしたレベルの「嫌い」という感情を持ったり、持たれたりしない人は、ほとんどいないのではないでしょうか?本書の中で述べられていますが、著者自身も、この「嫌い」に深刻に悩み、悩まされた体験を告白されています。 本書は、その「嫌い」という感情について、詳細にわたって調べあげています。なるほど、なるほどと、いちいち納得しながら読み進むことができます。しかも、人が人を嫌うのに合理的な理由があるわけではないとまで述べられています。大した理由がなくても、人は人を嫌うのだということを明確にしてくれています。人は理不尽に人を嫌う存在であるということを知れば、少し楽になれる人もいるでしょう。 そこまで、詳細に調べ上げて、わかることは、人が人を嫌うということは自然なことなのだ、ということです。著者は、この「嫌い」という感情は、食欲や性欲と同じくらい、本来人間にそなわっている感情だとも言っています。だから、この「嫌い」という感情を否定して、持たないようにするとか、ないように誤魔化すべきではないと言っています。むしろ、自分や他人の中にある「嫌い」を認め、それを受け入れるようにすべきだとも言っています。 なぜなら、この「嫌い」という感情があるからこそ、人生は豊かにいろどられるのであり、「嫌い」がない人生など、味気ないものであるとまで喝破されています。 自分が他人を嫌っていうることで悩んでいる人、他人から嫌われて悩んでいる人は、ぜひ読んでいただきたい本です。 |
| 東山 紘久 著 『プロカウンセラーの聞く技術』 (創元社) |
| 店頭でこの本を見かけたとき、阿川佐知子さん推薦「この本を読むと、自分が今までどれほど人の話を聞いていなかったかに気がついて、思わず吹き出してしまう。」という紙が本に巻きつけられてありました。仕事上、患者さんの話を聞くとこもあり、何やら、気になる推薦文だったので、読んでみる気になりました。 そして、実際に読み始めてみると、推薦文に書かれてあるように、いかに自分が人の話を聞いていなかったかということを思い知らされ、愕然としました。聞くということがどういうことか、そして聞くということがどんなに難しいことなのかということも知ることができました。話し上手より、聞き上手になったほうがいいとはよく聞かれることですし、私はそんなことは当然分っているつもりでした。しかし、本書を読み進むうちに、私は聞くということがどういうことなのかを全然理解していなかったということを認めざるを得ませんでした。というより、お恥ずかしいことながら、おそよ人の話を聞くということをしたことがないとさえ思えました。そして、本書で説明されている聞くという態度を身に付ける必要性を痛感しました。人の話を聞くという立場や仕事に従事する人には、ぜひ読んでいただきたい本です。それだけでなく、家庭の中でも、本書が述べている態度で、家族の話を聞くということは、とても重要なことだと思います。 よく言い訳をしてはいけないということは言われていますが、私にはその理由が分らず、そのことにずっと納得できませんでした。ところが、本書では、なぜ言い訳がいけないのかということも納得できるように説明してくれています。本書で述べられている理由を読んだ時に、なるほどとやっとこの年齢になって納得できました。 また、話し方やスピーチの本は、よく出版されていますが、本書のように聞くということについて書かれてある本は数少ないので、この機会に、ぜひ読んでみてください。 |
| 香山 リカ 著 『〈じぶん〉を愛するということ―私探しと自己愛』 (講談社現代新書) |
| 本書は、とても興味深く読ませていただきました。なぜ「私探し」というものに惹きつけられるのかという謎を追い求めて、「私探し」の探しの旅をはじめた著者がたどりついたのは、「誇大自己」というものだったというのです。この「誇大自己」は、「私探し」だけでなく、「アダルトチルドレン」、「多重人格」、「前世療法」などの淵源にもなっていることを著者は見つけ出します。こうしたものの淵源に「誇大自己」があるというのは、何も心理学の分野だけでなく、宗教における「啓示」とか「悟り」にも当てはまるのではなかと思いました。著者のいう「誇大自己」は、「万能感」といいかえることもできると思います。人間は、生まれたときには「万能感」をもっているわけですが、それが成長していく過程で、「万能感」は敗北していくことになるわけです。その過程で、うまく「万能感」を捨てられなくて、「誇大自己」を残したまま成長してしまった人は、「万能感」の欲求を満たし、「誇大自己」を実現するために、現在ここに存在する現実の自分以外に「もうひとりの私」を探し始めるという愚かなことに取り付かれてしまいます。これは、誰にでも見に覚えのあることではないでしょうか?あるがまま等身大の本来の自己を生きるということの難しさを痛感しました。 |
| 榎本 博明 著 『<ほんとうの自分>のつくり方─自己物語の心理学』 (講談社現代新書) | |
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| 谷沢 永一 著 『人間、「うつ」でも生きられる』 (講談社) |
| 谷沢永一氏の本は、これまでにも何冊か読んだことがあります。店頭で、この本のタイトルを見かけたた時、エッと思いました。あの著名な学者の谷沢永一氏が、うつの本を書かれたというのが奇異に思われたからです。 それで、ちょうどその頃、ひどいうつ状態の患者さんと接していた時期だったので、さっそく買って読んでみました。この本を読んでみて、谷沢永一氏ご自身がうつで苦しんでいたことを初めて知りました。そして、この本によって、生まれつきうつ体質の人がいるということを知りました。まさに、谷沢永一氏がそうだったのです。 それによって、いかに谷沢永一氏が苦しんで来られたかということが、赤裸々に書かれてあります。私には、そのことが驚きでした。人間は、外側から見ているだけでは分からないものだと思いました。 うつに関する知識は、とても重要だと思います。いつ、自分がそうなるか分かりませんし、また自分がそうならなくても身近な人がそうなるかもしれません。ですから、あらかじめうつに関する知識を持ち合わせているのと、そうでないのとでは、その受け止め方に違いが出て来てしまうと思います。そういう意味で、本書は、うつを知るためのよき入り口になると思います。 |
| 小泉 吉宏 著 『ブッダとシッタカブッタ 心の運転マニュアル本』 (メディアファクトリー) | ||||
| 小泉 吉宏 著 『ブッダとシッタカブッダ2 そのまんまでいいよ』 (メディアファクトリー) | ||||
| 小泉 吉宏 著 『ブッダとシッタカブッダ3 なあんでもないよ』 (メディアファクトリー) | ||||
| この本のことは、神戸から通所されていた男性の患者さんから、いままでいろいろ心理関係の本を読んだが、一番タメになったと教えられたものです。 それで、気になったので、早速本屋で探して、見つけて読んだ記憶があります。 まず、漫画だったことに驚きました。 しかし、奥の深い漫画でした。 書いてある内容が、いちいち思い当たることがあり、一番タメになったと言われたのも納得できました。 しかし、この本は、教えてもらっていなければ、自分では店頭で見ても買わなかっただろうなと思いました。それだけに、教えてもらってよかったと思いました。 |
| 白井 利明 著 『希望の心理学━時間的展望をどうもつか』 (講談社現代新書) |
| 店頭で、本書を手にとってみて、プロローグを読んでみると、以下の内容が書かれてあった。 『何が大切といって、私はひとが生き続けることが何よりも大切ではないかと思う。そして、生き続けるうえで最も必要なことは希望をもつことだと考えている。ただし、「生きていれば、いつかはよいことがある」「きっと苦労は報われる」「結局は何とかなるだろう」などという希望ではない。・・・・・・何ともならなくてもいいと思えること、このことのなかに希望がある。このことに希望がもてなければ・・・・・・すべてのひとが絶望の淵にたたき込まれ、とうてい生き続けることはできないように思われるのである。本書は、どのようにしたら希望をもつことができるのか、過去へのこだわりとどのように向かい合って未来を構想できるのか、現在を大切に生きるとはどのようなことをいうのかについて、時間的展望の心理学の立場から考えたものである。』 私にとって、この自己の生を受け入れることは大きなテーマであり、非常に気になるプロローグの文章で、時間的展望という聞きなれぬ用語にも関心をもったので、読んでみることにした。 私なりの理解では、人間は、生きていること自体とか、いま・ここでという現在に抽象的な価値を見出すことはできないのであって、時間的展望をもつことによって、はじめて生に意味を見出すことができるのだということが書かれてあるのだと思う。 くわしい内容は、本書を読んでほしい。 |
| 和田 迪子 著 『万能感―奢りと泣き寝入りのメカニズム』 (新潮社) |
| 和田 迪子 著 『万能感とは何か―「自由な自分」を取りもどす心理学』 (新潮文庫) |
| 本書のタイトルにもなっている、本書のキーワードである「万能感」というものが、人間を蝕んでいるいるのではないかと常々考えていたので、本書を読んでみるのに迷いはありませんでした。本書は、著者の専門である交流分析(Trasactional Analysis:略TA)を中心に、「万能感」というものを考察しています。交流分析について知識のない人にも、十分わかりやすく説明されているので、交流分析の入門書としても、本書を読むことができると思います。本書は、「万能感」というのものが、いかに私たちに影響を及ぼしていて、その「万能感」に私たちが縛られて、自由な行動が取れなくなっているのかを明らかにしてくれています。そして、この「万能感」から「自由な自分」を取りもどすために、交流分析を使った具体的な方法を提示してくれています。 |